JAあいち豊田について

平成29年6月号 「「トヨタの森」で思うこと」

2017.06.01

トヨタ自動車の本社ビルから南東へ2キロほどの山あいにあるフォレスタヒルズの中に「トヨタの森」があります。トヨタが運営する里山での自然体験活動の出来る施設で、20年ほど前から一般公開していてインタープリター(自然と人の「仲介」をして自然解説を行う人)が常駐しています。世界のモーターカンパニーのおひざ元にこのような施設があることに驚かされます。

20170606_sこの「トヨタの森」で6月2日から2日間、「トンボから伝えよう!人と自然共生の未来」と題し、「全日本トンボ王国プロジェクト」が開催されました。全国からトンボの愛好家や専門家、企業や行政の環境分野に携わる人たちなど約60人が集まりました。イベントでは国内最小種として知られるハッチョウトンボの寝姿観察会などのユニークなプログラムを始め最新のトンボ事情や豊田市のトンボに関する研究発表などが紹介されました。

このトンボイベントに生物学的な見地の持ち合わせの無い私が招待されました。「赤とんぼ米」の取組みを事例発表せよということです。この十数年で国内の赤とんぼの数が激減し、その原因が農薬にあるという疑いがもたれていることは参加者の多くの共通の認識です。豊かな自然と共にくらす私たち農家、生産者にとってかつての赤とんぼの舞う風景を米づくりを通して復活させたい思いをお話ししました。環境に配慮した米づくりを3年前から試験栽培し、翌年には環境保全米として販売、昨年は特別栽培米に進化した「赤とんぼ米」を売り出して地域消費者から多くの反響がありました。赤とんぼ米を栽培グループが作り、認証委員会がチェックし、賛同する消費者友の会が買い支える。この仕組みが出来上がり、今年度は生産者が増えたことで小規模ながら取扱量が倍増する見通しです。参加者からは「がんばれ、がんばれ」の声があり、とても心強く感じました。

トンボ専門の会議に出席し、さまざまな人の話を聞いて思うことは生き物を通して自然環境を見つめるとき、良くも悪くもそこには人間が介在し大きな影響を及ぼしているということです。ことに農業はその面積の大きさや水利用の観点からしてもその影響は多大です。人の生命のいしずえとなる食物を生産しながら多様な生物が棲み続けられる環境を作るという大きな責任を受け止めつつ、大いなる志を持って地域農業を支えていきます。