お知らせ

令和元年10月号 食料自給率37%と自由貿易

2019.10.02

 昨年の12月にTPP、今年の2月に日欧EPA、そしてこの10月に日米の貿易協定の合意が発表された。今年の4月からさっそく関税撤廃されたブドウ・キウイやワインが、量販店のメインの売り場にドカンと並べられた。そして、さらに自由貿易協定が進むたびに、豚肉、牛肉、チーズがこんなに安くなるとメディアが「消費者メリット」を強調する。

 

 実際に、大手のスーパーでドカンと並べられたブドウを見て、小さいながらもブドウの生産農家である私は、大変なショックと不安を覚えた。

 農産物の自由貿易は、農家が困るだけで消費者にはメリットなのだというのは、ほんとに正しいのだろうか。

いつでも、安心、安全な国産の食料が手に入らなくなることの危険を考えたら、自由化は、農家の問題ではなく、国民の命と健康の問題だと、東京大学院の鈴木教授は声を上げる。私も同感だ。

 輸入農産物が安い安いといいつつも、その食の安全性は、過去の事例から言っても、不安がいっぱいだ。食と病気は不可分の関係にある。欧米型の食生活が浸透するにしたがって、生活習慣病をはじめとする、健康被害がますます広がっている。

 

  昨年度(2018年)の食料自給率が37%の最低だと発表された。この37%とは平成5年のコメの大凶作の年と同じだ。ここまで落ち込んだにもかかわらず、今年はTPP、日欧EPA、日米貿易協定で、農産物の自由化がさらに加速する。来年は一体どうなってしまうのだろう。近い将来には10%になってしまうのだろうか。

 今、日本の農業・食は、十分とは言えない所得でも奮闘して、安心安全な農産物を供給してくれている多くの生産者に支えられている。この生産者を守り、支え続けなければ、いざという時、国産の安全安心な食料を食べたいと気づいた時に、自給率が10%になっていたら、もう選ぶことさえできない。もう、その瀬戸際に来ている。

農産物の自由化で、価格が下落しても、今の農業が続けられるようにしていくためには、生産農家に対して新たに「直接補助金」が必要である。めったに報道されないが、欧米では、驚くほどの手厚い直接補助金が支給されている。

 私は、この生産農家への直接支払というのは農家への補助金ではなく、「消費者補助金」だと思う。私たち農業者は、自分たちこそが国民の命を守ってきたし、これからも守るんだという、自覚と誇りと覚悟を持ち続けていきたい。