農と食

お花の豆知識

植物のお手入れ ワンポイントアドバイス

監修:産直プラザ

肥料の効用と活用について

 鉢植えの植物は土の量が限られているため、成長に必要な養分=肥料を補ってやらなければなりません。

 肥料を与えないからといってすぐに枯れてしまうことはありませんが、「姿かたちも美しく長く楽しむ」ためには「適切な成分量の肥料を適切な時期に与える」ことが大切です。

 どんな肥料を買えばよいのでしょう

 肥料の種類は成分量・使い方・原料により分類されます。
 植物がどのような状態で何を必要としている時期なのかを把握して選ばれると良いでしょう。

  • 肥料はたくさん与えれば効果が出るというものではありません。植物が肥料を必要とするのは春から秋にかけての生育期です。
    植え替え直後や根腐れしている時、冬季に根が休んでいる間は肥料を与えても吸収どころか枯らしてしまうことになるので注意しましょう。

 成分による分類・・・植物が特に必要とする成分

  窒 素(N):葉を育てる
  リン酸(P):花つき、実つきをよくする
  カ リ(K):根を丈夫にする

 例えば、シクラメン・ポインセチアでは

 シクラメン・・・花を咲かせて楽しみたい
  N:P:Kの割合は窒素分(N)の少ない肥料
 ポインセチア・・・葉の美しさを楽しみたい
  N:P:Kの割合は窒素分(N)の多い肥料

 一般的には、花の咲く植物は窒素分(N)が少なめの肥料、観葉植物のように葉を観る植物は窒素分(N)が多めの肥料を与えると良いようです。

 市販の肥料には、N・P・K=5・10・5などと表示されています。
 これは、窒素・リン酸・カリがどのくらいの割合で含まれているかを示す数字です。何種類もの植物に使いたい場合はN・P・Kが同じくらいに含まれているものを使うとよいでしょう。

使い方による分類

 固形肥料・・・元肥として土に混ぜたり、追肥として使用する。効きめがゆっくりで長く続きます。
 液体肥料・・・そのまま使用したり、多くは水で薄めて使用する。早く効きますが長続きしません。

原料による分類

 有機質肥料・・・動植物性の肥料 油かす、鶏ふん、骨粉など臭いが出やすいので室内用には適しません。
 無機質肥料・・・化学的に作られた肥料、粉状、粒状、液状のものがあります
 有機配合肥料・・・有機質肥料と無機質肥料の両者を配合してそれぞれの特性を活用

水かけについて

 「大事にしてたんだけど、ダメになってしまったわ・・・」とお嘆きのお客様、ほとんどは水のかけ過ぎと置き場所に原因があるようです。
 それでは、水かけの間隔と水の量は?
 = 3日に1回 コップ1杯 = なんて決めていませんか?
 水かけは、あくまでも鉢土の乾き具合によります。面倒ですが、1鉢1鉢、水のかけ時は異なります。土の表面が乾いてきたら、タップリの水を与えます。
 受け皿をしている場合には、水をためないようにしましょう。

土に水をかけます。

  • シクラメン・サイネリアのように葉が鉢を覆うように茂っているものは、葉の上から水かけしても土まで浸透していかないので、写真のように土に直接水をかけるようにしてください。
置き場所について

 植物の性質をよく知って、適切な場所に置くことは長く楽しむための大切なポイントのひとつです。一般的に花の咲くものは、日光の当たる明るい場所観葉植物は、半日陰の環境が合うようです。

観葉植物は半日陰に

このような経験はありませでしたか?

 いつも、レースのカーテン越しに飾っているシクラメンを、天気がよいので外に出しておいた。すると、花の茎がグッタリしてしまったので、急いで水を与えた。

 普段の環境から長時間、変化させないこと。グッタリしていても、土が乾いていなければ、水を与えずに、日陰に移し、元気になるまで様子を見ます。その後、徐々に陽に当てるようにします。これも大事なポイントです。

病害虫の防除法について

 病害虫を防除するには、花の手入れをすることが重要なポイントです。枯葉や花ガラはよく取り除くようにしましょう。つけたままにしておくと、やがて腐りカビが生えて害虫が発生しやすくなるからです。

 もし、病気になったり害虫が発生した場合には速やかに農薬などで消毒する事が望ましいです。病気に関しては消毒をしても抑える事のできないものも多くありますので、その場合は早く処分して周りの花に病気が移らないよう配慮する事も大事です。同じく害虫に関しても、あまりにも多く発生している場合には処分をした方がよいようです。

  • 農薬には殺菌剤と殺虫剤があります。
病気の場合は殺菌剤を使用して下さい

 複数の病気が一度に発生することも多く、防除は非常に難しいですが予防のための殺菌剤を定期的に散布することで効果が得られます。

害虫の場合は殺虫剤を使用して下さい

虫の種類によって殺虫剤を使い分けることが大切です。

  1. 接触毒

    害虫に直接スプレーするもの

  2. 浸透性移行性

    成分を根から吸収させるもの

  3. 食毒剤

    害虫に食べさせるため、植物に散布するもの

特徴 (1)(3) は速効性有り・持続力は短い
   (2)は遅効性有り・持続力は長い
 以上のような性質を参考に上手く組合せて使用すれば、害虫はかなり防除できます。

 一般的な害虫であるアブラムシ・アオムシ・ヨトウムシ・コナガ等は、ほとんどの薬剤で防除することができます。よく鉢花にアリが行列をつくっていることがありますが、アブラムシがいますので消毒が必要です。最近増えてきた害虫で、オンシツコナジラミがいますが、オンシツコナジラミに効果のある薬剤は限られていますので、詳しくは花屋さんなどでお尋ね下さい。又、ナメクジ・ダニもそれぞれ専用の薬剤を散布しないと効果は全くありませんので注意して下さい。

OKサンプル

健康的な花は、花びらの形状が安定し艶やかで、葉の裏も良好です。

NGサンプル

不健康的な花は、形状が不安定で変形していたり、葉の裏が変色したりしています。

植物の植え替え

 新緑の美しい今の季節は植物の植え替えの適期です。根詰まりして元気のなくなった鉢花・観葉植物は、夏の暑さが到来する前に植え替えをしましょう。

植え替えの目安は?

 一般的に 鉢「1」:植物の丈「2」くらいの比率になったときです。しかし、それ以下の比率であっても鉢土に根がしっかりとまわって本来なら白いはずの根が茶色っぽくなっていたら植え替えが必要です

植え替える器(鉢)は?

 器は今植わっているものより、ひとまわり大きな器に植え替えましょう。いきなり大きすぎる器に植え替えることは水管理がむずかしくなり植物の生育上好ましくありません。

植え替えの用土は?

 市販の培養土を使って植え替えます。5~6号鉢以上の大鉢に植える場合には水はけをよくするために鉢底にゴロ土を入れることが大切です

植え替えと同時に肥料は?

 新しい培養土で植え替えをすればすぐに肥料を与える必要はありません。(培養土はすでに肥料を含んでいるからです)タイミング的には新しい根が活動し始める半月から1ヶ月後に与えます

植え替えの回数は?

 植物によって異なりますがほとんどは年に1~2回の植え替えが必要です。ゼラニューム・ニューギニアインパチェンスなど生育の早い鉢花は2~3ヶ月毎に植え替えをしましょう。11月いっぱいまで花盛りで長く楽しむことができます。(花が咲かなくなったり下葉が黄色く枯れてきたら遅いということ)

 一般的に植え替えの適期は 春(4~5月)・秋(9月下~11月中)です。 寒い冬や暑い夏はなるべく避けるようにしましょう。
 市販の培養土は種類もたくさんありますので、早く自分にあったものをみつけていつも同じものを使うようにすると管理がしやすくなります。

四季咲き性の花を長く楽しむためには

 皆さんがよくご存知の、ホクシャ・ニューギニアインパチェンス・ゼラニュームは、四季咲き性植物の代表です。

ホクシャ

 「四季咲き性なのに購入したときのままで、続けて花が咲いてこないのはなぜ?」
 このご質問にお答えします。 
 原因は、次の二つによることが大きいようです。

1. 光線不足

 花の咲く植物のほとんどは、太陽の光線を必要とします。
 室内に飾るのであれば、日当りの良い明るい場所に置きましょう。
 本来なら、戸外で太陽に当てることが望ましいです。

2. 根づまりによる肥料不足

 肥料は、「元気玉」等を与えましょう。

  1. 生育が旺盛なために早く根づまりするので、2~3ヶ月に一度一回り大きな鉢へ植え換えをしましょう。
    • ニューギニアインパチェンスは、特に生育が旺盛です。
  2. 鉢のサイズをそのままに保ちたければ、切り戻しをしましょう。
    (切り戻す位置の目安は、鉢の上部から5~10cmです)
    1ヶ月後くらいには、新芽が伸び、花が咲き始めるでしょう。

 花を長く楽しむためには、(1)の植え替えをおすすめします。

ゼラニューム
ニューギニアインパチェンス
盛夏の花のお手入れ方法

 うっとおしい梅雨も明け、ジリジリとした日差しの照りつける季節は、花にとっても要注意です。(すべての花が該当するわけではありませんが…)

その1

 プランター・鉢植えの花壇苗等も梅雨の日照不足と雨にたたられて、ムレたり花ガラが腐って株が弱っているものが多いのではないでしょうか。又、急激な日光の強光線により、葉焼け等の障害が発生していませんか。

  • このような場合は、「切り戻し」をして再生を待ちます。(もったいないようでも地際から5cmくらいの高さで、思い切ってカットします。
その2

 室内に飾ってある観葉植物・鉢花等は、梅雨明けとともに強い日光に当てますと葉焼けをおこします。しかし、もともと日光は必要ですので、朝方の弱い日光に当て徐々に時間を延ばして慣らしていきましょう。

  • 「葉焼け」は普通の日差しであっても30分くらいでおきます。(植物は、急激な環境の変化に敏感ですので、日光浴をさせる場合には、くれぐれも「徐々に」が基本です。
その3

 真夏の暑い季節、植物の根は活発に生育しているものばかりではありません。この時期でも花を次から次へと咲かせたり、葉をたくさん茂らせるものは、根の生育が旺盛ということで定期的に肥料を与えなければなりません。しかし、植物によっては厚さのため根が活動を休んでいるものもあります。

  • 生育が止まっているような状態であれば肥料はあたえません。(肥料を与えることにより、根を腐らせてしまう植物もあります。)
その4

 本来なら直射に強い植物であっても、今まで弱い日差しの中に飾ってあったものは、急に強い日差しの場所へ移動させないように注意しましょう。室内では窓際のレースのカーテン越し、戸外ではちょっとした木陰などに置きましょう。又、急激な環境の変化ということで見落としがちなのが、店で買ったばかりの植物です。店内と戸外では光線の強さにかなりの違いがあるので、日光を好む植物であっても、即、戸外へ置いたままにしてはグッタリしてしまいます。お気をつけください。

植物の冬支度

 冬が近づく季節は、昼夜は寒暖の差が大きくなり突然、霜が降りることもめずらしくありません。
 多くの植物は、霜にあたったり0℃以下の気温にさらされると凍死してしまいます。(宿根草・多年草は例外です。)
戸外に置いてある植物のなかで寒さに弱いと思われるものは、室内の明るい窓辺などに移動させる準備が必要です。
「寒くても一晩くらいなら大丈夫だろう」、このような安易な考え方は禁物です。
 植物は、一晩0℃以下の気温にあたると凍ってしまうものがほとんどです。(30分~1時間でも凍るものはあります。)

 「いつもより今夜は寒そうだ」と感じるときには、早めの移動が大切です。
 ○土が湿っているのに葉がしんなりとして生気がなくなる。
 ○葉のフチが茶褐色になる
などの変化がみられたら、危険信号で見逃さずに室内のなるべく暖かい場所に移動させましょう。

 さらに、寒さが厳しくなると注意しなければいけないことは、窓辺に飾った花は、凍傷にあいやすいということです。
 昼間 陽がさしこみ暖かいのですが、夜間 冷え込みやすいので好ましくありません。
 就寝前に花を窓辺から部屋の中程へ移動させたり、特に寒さに弱いものにはダンボール箱をかぶせるのも効果があります。
 暖房のある部屋に置く場合は、なねべく温風の当らない場所に置きます。
 土の表面が乾いたらタップリ、が基本です。水かけは、昼間の暖かいうちにしましょう。

 移動させる場合、植物によっては大きく成長して、室内に取り込むのに困難な状態のものもあります。
 ○大きくなって形が乱れたものは、枝を切り全体を整える。
 ○土の表面から10cmくらいの高さまで切り戻す。
などの方法で扱いやすくします。
 このような処理をした植物の管理は、水やりに注意しましょう。
 枝葉を切り落としているので、蒸散が少なくなり乾きにくくなっているため水やりの間隔は、これまでより遠くなります。以前と同間隔の水やりでは、必ず根腐れをおこし植物は腐ってしまいます。

シンビジウム

 花の咲いているシンビジウムを人からいただいたり、自分で購入しても翌年花を咲かせられずに、「洋ランの管理は難しい」と思っていらっしゃる方に花を咲かせる方法をご紹介します。

 シンビジウムは基本的には1年おきに株を育てる年と花を咲かせる年とに分かれます。

 したがって、購入された年と同じような状態に花を毎年咲かせることはできませんので、花が終わってからは次のような管理をしましょう。

1年おき(翌々年)に咲かせる管理
  1.  4月中下旬 霜が降りなくなったら戸外の日当たりのよい場所へ移し、今植えられている鉢よりひと回り大きな鉢に植え替え肥料を与えます。
  2.  リード(新芽)が出てきますので、2~3本を残しそれ以外は摘み取ります。この年の出てくる花芽もすべて摘み取ります。
     (1年目は花芽をつけるためのリードを養成させることが目標です。この作業をしないと毎年まばらに咲くのみの状態です。)
     戸外で管理を始めたシンビジウムは、室内で観賞しているときとは違い、水は毎日欠かさず与えましょう。
  3.  夏は、木陰のような風とおしのよい涼しい場所に移します。盛夏には肥料は与えません。
  4.  秋から冬にかけて、霜の降りる前には室内に入れましょう。シンビジュウムは豪華に咲き揃ったものであれば寒めのやや暗い所に置くと花は長く楽しめます。低温には強いので凍らなければ大丈夫です。つぼみの状態のものであれば、明るく暖かい場所に置いて花を咲かせ、その後に置き場を変えればより長く楽しめます。水かけは一週間に一度タップリ与えましょう。水を入れたバケツ等の中で5分間位浸すのもよいです。

 2年目には出てきたリード(新芽)はすべて摘み取ります。2年目に出てきた花芽を生育させ花を咲かせます。
 これ以外は1年目と同じ管理をします。

シクラメン
  1.  花が咲かなくなり、葉の枚数も減りみすぼらしい状態になっている株水を徐々に少なめに与えるようにして地上部の葉を枯らします。
     この時、球根は硬い状態が正常です。(指で押さえて軟らかいようでは腐っています。)

     鉢植えのまま水を与えずに、縁の下のような風通しの良い冷暗所に置きます。

     盆頃になると、球根の上部から白っぽい芽が出てくるので水を与え、少しずつ光線に慣らしていきます。
     注:半日陰のような弱い光線に当てます

     9~10月頃、ひとまわり大きな鉢に植え替え肥料を与え始めましょう。

     霜が降りる直前まで日当りの良い戸外で管理します。気温が下ってきたら室内の明るい場所へ移しましょう。
     シクラメンは、鉢花の中でも温度管理がデリケートな部類に入りますが、ポイントを覚えていただければ丈夫で長くお楽しみいただけます。
     明るく寒めの場所に置きます。低温には強いので凍らなければ大丈夫です。
     私たちがポカポカして気持ちいいという室温は苦手です。

     花は年明けくらいから咲き始めます。

  2.  3、4月になっても葉が青々として元気の良い状態の株花がらや枯れた葉を取り除き、今までどおりの管理をします。
      霜が降りなくなったら、戸外に出してよく光線に当てます。
      注:戸外に出しても雨には当てないようにします。また、徐々に日に当てるようにします。

     5月頃になったらひとまわり大きい鉢に植え替えると良いです。
     植え替えをしない場合は、この頃から肥料を少しずつ与えます。

     6~9月いっぱいまでは光線が強すぎるので半日陰の涼しい場所で管理します。
     注:この時期は暑いので肥料は与えない方がよいです。10月頃から肥料を与え始めます。

     花は年内のうちに咲き始めます

 シクラメンの古株は(1)又は(2)の管理方法で翌年も咲かせましょう。

ポインセチア

 クリスマスの花の代表ポインセチアは、寒さに特に弱いので注意して下さい。

サンセベリア

 室内の空気を浄化することで人気のあるサンセベリアは、冬季に水を与えると根元で腐って倒れます。12月から3月頃までは水は一切与えないで下さい。(萎れた状態になっていても水を与えれば元に戻りますから心配はいりません。)